【時代解説:先史時代】手がかりは遺跡や遺物!文字を使用する以前の人類の歴史とは?

こんにちは!歴史ワールド管理人のふみこです!

今回は、歴史の時代区分の1つ、「先史時代」について解説します。

時代区分については、主流となっている「先史時代」「古代」「中世」「近世」「近代」「現代」の六時代区分法を前提とします。

みなさんは、「先史時代」「有史以前」といった言葉を聞いたことがありますか?人類の歴史は、文字を発明する以前と、文字を発明してからで明確に区分されています。「先史時代」とは、文字を発明する以前の人類の歴史です。原始時代とも呼ばれ、人間同士に階級がなく社会集団や文化の形成が未成熟な時代です。

文字で書かれた資料が残っておらず、遺跡や遺物などから推測する考古学によってしか知ることができません。文字で書かれた書物から知ることが可能な「歴史時代」と異なり、手がかりが圧倒的に少ないですが、「先史時代」は人類史の99%以上を占める長い期間です。人類史のほとんどは、はっきり分かっていないのです。

この記事では、文字を発明する以前の時代「先史時代」とはどんな時代だったのか、分かりやすく解説します。

目次

先史時代とはいつからいつまで?

約700万年前、地球上に人類の祖先が出現してから、約5000年前に文字を発明し自らの歴史を記録に残すようになるまでの、数百万年という気の遠くなるような長い時代を「先史時代」といいます。

人類史の99%以上を占める長い期間にも関わらず、資料に乏しいため、僅かな手がかりをもとに想像するしかありません。

もしかしたら、現代以上に高度な文明が存在し、核戦争で滅びた可能性もあるかもしれません。

日本で文字ができたのは1世紀頃で、弥生時代から古墳時代あたりで先史時代が終わったと言われています。

先史時代の流れ

人類の誕生と進化(約700万年前〜約1万年前)

ヒト(人類)は生物学上、霊長目ヒト科に分類されます。ヒト科には他にチンパンジーやボノボなどの類人猿がいますが、ヒトが類人猿と決定的に異なる特徴は、直立二足歩行です。ヒトの祖先が類人猿と枝分かれしたのは、約 1000万年〜700万年前と推定されています。

最初の人類は、約700万年前にアフリカの森林で誕生したサヘラントロプスだとされています。半樹上生活を送りながら、地上を歩くときは直立二足歩行をしていました。約700万年前〜200万年前に生息していた最初期の人類を「猿人」と呼びます。猿人の一部は、次の世代の「原人」に進化していきます。

最初の原人は約240万年前に現れたホモ=ハビリスで、石を打ち欠いた礫石器を使用して肉食が増えます。初めて石器を使用したのが、この原人でした。次の原人が約180万年前に現れたホモ=エレクトゥスで、石を打ち欠いたものを作業に応じて改良した打製石器を用い、火も使用します。原人は約180万年前に初めてアフリカの外に出て、インドネシアのジャワ原人や中国の北京原人などに進化していきます。

そして約60万年前、さらに進化した旧人(ホモ=サピエンス)がアフリカに現れます。旧人もアフリカを出て、ヨーロッパでは約20万年前にネアンデルタール人が誕生します。彼らは打製石器をさらに改良・細分化させ、死者を埋葬するといった精神文化も発達します。

次に約20万年前、アフリカに現れたのが新人(ホモ=サピエンス=サピエンス)で、現生人類です。新人は旧人から進化したのではなく、約60万年前に原人からそれぞれ分岐したとされています。新人も約10万年前からアフリカを出て1万年前までにほぼ世界中に広がり、ヨーロッパのクロマニョン人などが誕生します。石器だけでなく骨や角で作った骨角器も用いられるなど道具を作る技術が飛躍的に向上し、洞穴絵画を描くなど、精神面も発達していきます。

約240万年前の原人から約1万年前の新人まで、人類は打製石器を用いて狩猟・採集生活を営んでいました。道具による時代区分では、この期間を「旧石器時代」とよびます。

狩猟・採集から農耕・牧畜への移行(紀元前1万年〜4000年頃)

約1万年前に最後の氷期が終わって地球全体が温暖化すると、人類は世界各地で食糧生産のための定住生活を始めます。それまでの狩猟・採集による獲得経済から、農耕・牧畜による生産経済への移行です。

人類は共同作業で生産量を高めるために集落を形成するようになり、食糧生産のための役割分担から社会構造も複雑化して、のちの文明発展の基礎が築かれます。

この頃から、人類は織物や土器を作り、石と石を研磨する磨製石器を用いて食料生産などに使用します。「新石器時代」の始まりです。

このように、紀元前1万年〜4000年頃にかけて、地球全体の温暖化をきっかけに、人類は磨製石器を用いた農耕・牧畜による定住生活へと移行しました。

文明の誕生(紀元前5000年〜3000年頃)

初期の農耕は雨水を利用する乾地農法でしたが、紀元前5000年頃から、メソポタミア地方(現在のイラク)にてティグリス川・ユーフラテス川といった川の水を利用した灌漑農業が始まります。灌漑農業によって農業はさらに大規模化し、集落は都市へと成長します。大規模な農業を続けるためには集団を組織化するための権力が必要であり、権力の仕組みである国家が成立します。文明の誕生です。

その後、紀元前3000年頃までに、イラクのティグリス川・ユーフラテス川に加えて、エジプトのナイル川、パキスタンのインダス川、中国の黄河・長江といった川の流域にも文明が誕生します。四大文明の成立です。

文字の発明と歴史時代の始まり(紀元前3500年〜3000年頃)

初期の国家は、首長の宗教的な権威によって維持され、それを示すために神殿が作られます。神殿には貢ぎ物として農産物が納められるため、種類や数を管理するために文字が発明されます。

最古の文字は、紀元前3500〜3000年頃にメソポタミアのシュメール人によって発明された絵文字で、それが発達して楔形文字となります。

文字の発明によって、人類は過去の記録を見て将来に備えることが可能となり知識の蓄積が爆発的に増えます。こうして、人類史は先史時代から歴史時代へと移行します。

謎に満ちている先史時代が人類史の大半を占める

人類が文字を発明して記録を残すようになったのは紀元前3500年〜3000年頃であり、今から約5500〜5000年前です。人類が誕生したのが約700万年前とすると、約699万5000年は文字による記録のない時代です。人類史の大半は、ほとんど記録が残っていないのです。

歴史時代のできごとが数年や数十年単位で激動していることを考えると、この空白の約699万5000年には、現在判明していることよりもさらに膨大なできごとが起こっていても不思議ではありません。

過去にも人類は現在と同じかさらに高度な文明を築き、核戦争で滅亡して文字も記録も全て失われた可能性も否定できないでしょう。

この謎に満ちた先史時代の謎がもっと判明されてほしいです。管理人が高校生の頃、最古の人類が約440万年前のアウストラロピテクスだと習ったのが、現在では約700万年前のサヘラントロプスに変わっていることを知って感動しました。これからも、先史時代のことが判明されていくことを願っています。

これからも一緒に歴史を学んで未来をより良くしていきましょう!最後まで読んでいただきありがとうございました。

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