【世界史の地域区分】世界の国々をグループ分け!地域区分を解説

こんにちは!歴史ワールド管理人のふみこです!

今回は、世界史の地域区分について解説します。

世界史を学ぶうえでは、地理の知識が必要不可欠です。「ヨーロッパってどこ?」「中央アジアってどこ?」というレベルでは、いざ世界史の勉強を始めてもどこの地域のことを勉強しているか分からず、世界史を理解することができません。

この記事では、世界史を学ぶうえで必要な地理の知識となる、世界の大まかな地域区分を解説します。

目次

地域区分とは

世界史を学ぶうえでは、世界全体をいくつかの地域に分ける、「地域区分」の考え方が重要です。世界にはさまざまな国々がありますが、それらをいくつかのグループに分けたものが「地域区分」です。具体的には、「西ヨーロッパ」「東ヨーロッパ」「西アジア」「中央アジア」「南アジア」「東南アジア」「東アジア」「北アジア」「アフリカ」「オセアニア」「北アメリカ」「南アメリカ」に分けられます。

なぜそのようなグループ分けになるかというと、それぞれの地域内では似たような気候や文化で、地域内で密接な交流があったからです。

交流は、交易や文化交流だけでなく戦争も含み、交易や文化交流、戦争などを通して地域内が1つの世界として密接に結びついています。

気候・宗教・文化・言語・人種など、それぞれの地域内では、他の地域と区別される共通の要素があります。例えば、西ヨーロッパは西岸海洋性気候または地中海性気候でキリスト教のカトリックとプロテスタントが多く、ゲルマン系とラテン系の人種が多いです。それに対し、東アジアは温暖湿潤気候で儒教や仏教が主流で、黄色人種がほとんど、漢字という共通の文化があります。

このように、それぞれの地域内では1つの世界が構成されており、古代のように他の地域との交流が少なかった時代では、人々はそれぞれの地域を世界全体だと認識していました。これを「地域世界」ともいいます。

世界史の地域区分

それでは、それぞれの地域区分の特徴を解説していきます。

西ヨーロッパ

ユーラシア大陸西側の、キリスト教徒が多数の地域をヨーロッパと言いますが、その中でも西側の、カトリックとプロテスタントが多い地域を西ヨーロッパといいます。

気候は西岸海洋性気候または地中海性気候に属し、高緯度のわりに温暖です。人種は白人のゲルマン系とラテン系が多くなっています。

大部分がローマ帝国の西半分である西ローマ帝国だった地域で、古代末期西暦476年の西ローマ帝国崩壊後しばらくは群雄割拠の状態が続き、中世中期の西暦1000年頃には現在の主要国である「イギリス」「フランス」「ドイツ」が形成されていました。近世初期の西暦1500年頃から近代社会の基礎となる制度や技術が発達し、18世紀後半からの産業革命によって世界の覇権を握り、19世紀後半までに世界の大半を植民地支配します。1945年の第二次世界大戦終了後は植民地の大半を失いますが、世界の主要国の立場は依然として維持しています。西ヨーロッパの国々は長年対立してきましたが、近年はEU(ヨーロッパ連合)としてまとまりを見せています。

東ヨーロッパ

ユーラシア大陸東側の、キリスト教徒が多い地域をヨーロッパと言いますが、その中でも東側の、正教徒が多い地域を東ヨーロッパといいます。

気候は亜寒帯湿潤気候がメインで、人種はスラヴ人が多くなっています。

古代から中世は東ローマ帝国の影響を大きく受け、中世中期の西暦1000年頃には現在につながる国、「ポーランド」「ハンガリー」などが誕生します。その後は地域内大国のロシアや西ヨーロッパのドイツ・オーストリアの影響を受け、1945年の第二次世界大戦終了後は、ソ連を中心とする社会主義の東側陣営となり、西ヨーロッパやアメリカと対立します。1991年のソ連崩壊後は西側との関係が深まっています。

西アジア

アジア西部の、イスラム教徒が多い地域です。「オリエント」「中東」という呼び方もあり、厳密にはこれらの地域はやや異なるのですが、同じようなものだと思っていただいて大丈夫です。また、サハラ砂漠以北の北アフリカも西アジアに含めます。地理的には北アフリカはアフリカに属しますが、歴史的に西アジアと関係が深いため、世界史では北アフリカは西アジアに含めて考えます。

気候は乾燥気候で砂漠が多く、人種はコーカソイドが多いです。

古代中期まで世界の中心であり、古代後期には東ローマ帝国の影響を大きく受けます。中世からはイスラーム勢力の支配下となり、それからはイスラーム教徒が世界で最も多い地域となりました。現代では紛争が絶えず、政治的に不安定な国々が多くなっています。

中央アジア

ユーラシア大陸中央部の草原地帯です。

気候は乾燥気候の草原が多く、人種はコーカソイドとモンゴロイドの混血が多いです。

紀元前1000年頃から騎馬遊牧民の世界を形成し、周辺の農耕民族の支配地域にたびたび侵入を繰り返します。西暦900年頃からイスラーム化が進み、13世紀のモンゴル帝国で騎馬遊牧民の最盛期となりますが、16世紀頃から衰退し、18世紀には騎馬遊牧民国家は消滅します。その後の中央アジアはロシア帝国やソ連の支配下となり、現在では多数の独立国家を形成しています。

南アジア

ユーラシア大陸南部の半島で、ヒンドゥー教徒が多い地域です。

気候は熱帯湿潤気候・砂漠気候・高山気候と幅広く、人種はコーカソイドが多いです。

古代から中世まで分裂状態が多く、近世の17世紀になるとムガル帝国がインドを統一して繁栄します。しかし、19世紀にはイギリスの植民地となり、1945年の第二次世界大戦終結後にインドとパキスタンが独立します。

東南アジア

ユーラシア大陸南東部の半島と島嶼で、仏教徒とイスラーム教徒が多い地域です。

気候は主に熱帯湿潤気候と温帯冬季少雨気候で、人種はモンゴロイドが多いです。

中国とインドの影響を受けてさまざまな国家が興亡を繰り返しますが、この地域全体を統一する国家は現れず、19世紀からタイを除く全ての地域がヨーロッパ諸国の植民地となります。1945年の第二次世界大戦終結後に多くの国が独立しし、現在では東南アジア諸国連合(ASEAN)としてまとまりを見せています。

東アジア

ユーラシア大陸東部の中国・朝鮮半島・日本列島がメインとなる地域で、儒教と仏教が栄え、中国発祥の漢字が多く使われています。

気候は温帯湿潤気候がメインで、人種はモンゴロイドが多いです。

中国は黄河流域で文明が栄えて紀元前200年頃に最初の統一王朝である秦が誕生、以後は古代から近代まで統一と分裂を繰り返しながら、東アジアで最も勢力の大きい国の立場を維持し続けます。日本や朝鮮半島は中国の影響を受け続けます。日本は西暦300年頃に統一国家が誕生し、基本的には天皇を中心とする統一国家が近代まで続きます。19世紀後半から、アジアでいち早く近代化に成功した日本が台頭し、台湾や朝鮮半島を支配するなど勢力を伸ばしたため、この地域の覇権国家は日本に移ります。1945年の第二次世界大戦終結後は日本の勢力が縮小しますが、すぐに経済大国として復活します。1990年代以降は中国の経済成長が著しく、東アジアの覇権は中国に移りつつあります。

中国が朝鮮半島まで支配して大帝国を築くことはありましたが、日本を征服することはできず、東アジア全体を統一する国家は未だに現れていません。

北アジア

ユーラシア大陸北部のシベリアがメインとなる地域です。

気候は亜寒帯と寒帯が多く、人種はモンゴロイドが多いです。

先住民の国家はほぼ形成されず、17世紀頃からロシア帝国が進出してこの地域を支配し、以後はソ連・ロシア連邦などロシア国家の支配下となります。

アフリカ

アフリカ大陸の中部から南部で、世界史の地域区分ではサハラ砂漠以南を指します。

気候は熱帯と乾燥地帯が多く、人種はネグロイドが多いです。

国家の形成は遅れており、大きい勢力を持った国家は一度も現れることはなく、古代から近世まで小国が点在するだけでした。16世紀からスペインやポルトガルの植民地ができ、19世紀には大部分がヨーロッパ諸国の植民地となります。1950〜1960年代に多くの国が独立しますが、現代でも経済は弱く紛争も絶えず、発展途上国がほとんどとなっています。

オセアニア

中部〜南部太平洋の島嶼部です。

気候は熱帯・乾燥帯・温帯と幅広く、人種はオーストラロイドとコーカソイドが多いです。

先住民の国家はほぼ形成されず、18世紀からイギリスなどヨーロッパ諸国の植民地となり、20世紀前半にオーストラリアやニュージーランドが独立します。

北アメリカ

アメリカ大陸の北部です。

気候は温帯・乾燥帯・亜寒帯と幅広く、人種はコーカソイドが多いです。

先住民の国家はほぼ形成されず、17世紀からイギリスなどヨーロッパ諸国の植民地となります。しかし、18世紀にアメリカ合衆国が独立し、この地域の覇権を握ります。19世紀末にはアメリカ合衆国は世界最大の経済大国となって世界の覇権を握り、特に第二次世界大戦以降や冷戦終結後は圧倒的な超大国として、世界の覇権国家としての地位を盤石にさせています。

ラテンアメリカ

アメリカ大陸の中部〜南部です。

気候は熱帯・温帯・乾燥帯・高山気候と幅広く、人種もコーカソイド・モンゴロイド・ネグロイドが幅広くいます。

マヤ文明やインカ帝国など先住民の国家が繁栄しますが、16世紀から地域のほとんどがスペインとポルトガルの植民地となり、19世紀には現在につながるブラジルやアルゼンチン、メキシコなど多数の国家が独立します。

歴史を体系的に理解するうえで地域区分は必要

地域区分には、「どのように分けるか」についてさまざまな見解があり、細かいことにこだわりだすとキリがありません。

世界史を学ぶうえでは、細かいことを気にする必要はなく、各地域の大まかなイメージと位置、代表的な国を知っていれば十分です。例えば、西ヨーロッパはユーラシア大陸の西端にあり、西岸海洋性気候で、キリスト教のカトリックとプロテスタントが多く、イギリス・フランス・ドイツなど世界史の主役となる国々がある。といった感じです。

地域区分は、世界史を体系的に理解するための重要なツールです。例えば、「イラン」という地名が出てきたとき、地域区分の知識があると、「イランは西アジアに属している。西アジアの特徴は、乾燥気候、イスラム教徒が多数派。だからイランもおそらくそういう特徴かなあ。」といったイメージが浮かびます。こういうイメージがあると、世界史は理解しやすいです。

さらに「時代区分」の考えを組み合わせることで、「時代区分」のタテ(年代別)と「地域区分」のヨコ(地域別)に歴史をカテゴライズすることができ、体系的でスムーズな理解につながるのです。

これからも一緒に歴史を学んで未来をより良くしていきましょう!最後まで読んでいただきありがとうございました。

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