【時代解説:紀元前2000年〜1000年頃】インド=ヨーロッパ語族がユーラシア各地で国家を作った頃の世界史を解説!

こんにちは!歴史ワールド管理人のふみこです!

今回は、紀元前2000年〜1000年頃の、インド=ヨーロッパ語族がユーラシア各地に広がってさまざまな国家を作った頃の世界史について解説します。

人類最初の民族大移動です。インド=ヨーロッパ語族の大移動によってどのような国家が誕生し、古代文明はどのように変化していったのでしょうか。

この記事では、紀元前2000年〜1000年頃はどんな世界だったのか、分かりやすく解説します。

目次

紀元前2000年〜1000年頃はどんな世界だったのか

紀元前2000年〜1000年頃は、インド=ヨーロッパ語族の大移動の時期です。もともとインド=ヨーロッパ語族は現在のウクライナ・ロシア南部・カザフスタンあたりに住んでいましたが、気候の寒冷化などの影響によってヨーロッパ・オリエント・インドなどに移動してきます。この大規模な民族移動により、もともといた民族が滅びてインド=ヨーロッパ語族の国が誕生したり、もともといた民族が押される形でさらに別の場所に移動し、そこで建国するといった出来事も発生します。

オリエント地域(メソポタミア文明・エジプト文明)

紀元前2000年頃にセム語系のアムル人がメソポタミアに侵入してシュメール人国家のウル第3王朝を滅ぼし、古バビロニア王国を建国します。この古バビロニア王国はハンムラビ王のときにメソポタミアを統一し、400年以上も繁栄してメソポタミア文明の最盛期を迎えます。さらにシュメール人の法典を継承し、ハンムラビ法典を制定することで、初めての体系的な法治国家となります。しかし、ハンムラビ王の死後急速に衰退してしまい、紀元前16世紀にはインド=ヨーロッパ語族のヒッタイトの侵入により滅亡し、北部にはミタンニ王国、南部にはカッシートが建国されます。しかし、ミタンニ王国は紀元前14世紀に新興勢力アッシリアにより滅ぼされ、カッシートも紀元前12世紀にエラム人により滅亡、ヒッタイトも紀元前13世紀に海の民によって滅ぼされます。

エジプトは、紀元前2000年頃に中王国により統一されますが、紀元前17世紀にシリア方面からアジア系民族のヒクソスに侵入され、中王国は滅びます。紀元前17〜16世紀はヒクソスによって支配されますが、紀元前16世紀になるとエジプト人が反撃してヒクソスを追い払い、新王国を建国します。新王国は一時期パレスチナやシリアにまで勢力を拡大して黄金期を築きますが、紀元前13世紀末から12世紀の海の民の侵入によって弱体化し、次第に衰退して紀元前11世紀に滅亡します。

地中海地域(エーゲ文明)

地中海沿岸地域では、紀元前2000年頃からインド=ヨーロッパ語族のギリシア人がギリシア本土に移住し、紀元前1600年頃にミケーネ文明という青銅器文明を築きます。ミケーネ文明は紀元前1400年頃にクレタ文明を征服、紀元前1200年頃にトロイア文明を征服したとされ、地中海の海上交易により富を蓄積し、各地に植民活動も行います。しかし、そのミケーネ文明も紀元前1200年に海の民の侵入などの理由で滅亡し、ギリシアは「暗黒時代」と呼ばれる混乱した時代に入ります。

中国

伝説では紀元前21世紀から16世紀にかけて夏王朝が存在し、紀元前16世紀に殷の湯王が夏を滅ぼして殷王朝を建てたとされています。殷墟という殷の都の遺跡があり、これが殷が実在した証拠とされています。殷は神権国家であり、王は祭祀を行って天帝の意志に基づいて政治を行っていました。また、青銅器の鋳造も爆発的に発達し、文字を発達させてのちの漢字のもととなる「甲骨文字」を生み出します。しかし、殷王朝最後の紂王は暴君であり、紀元前11世紀に周の武王に滅ぼされます。そしてそのまま周が建国されます。周では諸侯・卿・大夫・士という身分制度が定められ、王の一族や有力な臣下を諸侯として各地の領土と民を与えて統治させます。封建制の始まりです。

インド

インダス文明は紀元前1800年頃から次第に衰退し、代わりに紀元前1500年頃からインド=ヨーロッパ語族の牧畜民であるアーリア人がインダス川上流地域に侵入し、定住して農牧生活を始めます。紀元前1000年頃まで、アーリア人はこのインダス川上流地域で貧富の差や地位のない部族社会を築きます。さまざまな神々が祀られ、宗教的な知識をおさめたインド最後の文献「リグ=ヴェーダ」が生まれます。

その他の地域

インド=ヨーロッパ語族の大移動はその他の地域にも及び、西ヨーロッパにケルト人、中央ヨーロッパにゲルマン人、東ヨーロッパにスラヴ人が移住します。中東ではペルシア人がイラン高原に移住し、イタリア半島にはのちにローマ帝国を築くラテン人が移住していったのです。

紀元前2000年〜1000年頃は、インド=ヨーロッパ語族の大移動によって古代文明が変容しながら拡大していった時代!

このように、紀元前2000年〜1000年頃の約1000年間は、インド=ヨーロッパ語族の大移動の影響で、各地に新たな国家が誕生したり滅んだりと、古代文明が変容しながら拡大していった時代でした。そしてこのインド=ヨーロッパ語族の中には、のちに世界史の主役となるラテン人・ギリシア人・ゲルマン人などといった民族も含まれ、これらの民族が発展していく前の準備段階にあたるのがこのインド=ヨーロッパ語族の大移動の時期なのです!

これからも一緒に歴史を学んで未来をより良くしていきましょう!最後まで読んでいただきありがとうございました。

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