【地域解説:ラテンアメリカ】地球の反対側!アメリカ大陸の中部から南部について解説!

こんにちは!歴史ワールド管理人のふみこです!

今回は、世界史の地域区分の1つ、「ラテンアメリカ」について解説します。アメリカ大陸の中部から南部の地域です。

マヤ文明やインカ帝国など先住民の国家が繁栄しますが、16世紀から地域のほとんどがスペインとポルトガルの植民地となり、19世紀には現在につながるブラジルやアルゼンチン、メキシコなど多数の国家が独立します。

では、ラテンアメリカはどこからどこまでで、どういう地形で、どんな気候で、どんな宗教を信じる人が多く、どんな人種や言語で構成されているのでしょうか。そして、どんな歴史を辿ってきたのでしょうか。

この記事では、「ラテンアメリカ」の範囲、地理、気候、宗教、人種、言語、歴史について徹底的に解説します。

目次

ラテンアメリカの範囲

上の図の紫色の範囲が「ラテンアメリカ」です。地理的にはメキシコなどパナマ以北の国々とカリブ海諸国は「北アメリカ」に含めますが、世界史では「ラテンアメリカ」に含みます。メキシコ以南の中南米はスペイン人とポルトガル人が開拓した地域という共通点があるためです。アメリカ合衆国とカナダは主にイギリス人が開拓した地域です。世界史では、イギリス系とスペイン・ポルトガル系で分けています。

ラテンアメリカの地理

ラテンアメリカは西部が山脈で、東部に河川や熱帯雨林が多い地形です。アマゾン川は世界で最も流域面積が広い河川です。流域には熱帯雨林が広がります。北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の境目はパナマ地峡という細い陸地で繋がっています。太平洋と大西洋を船で行き来する場合、南米最南端のマゼラン海峡かドレーク海峡まで迂回する必要がありましたが、1914年のパナマ運河開通後はパナマ地峡を船で通過できるようになり、太平洋と大西洋の行き来がしやすくなりました。

ラテンアメリカの気候

メキシコ南半分から南米北半分にかけての赤道に近い地域は熱帯(Af、Am、Aw)に属します。メキシコ北半分や南米の南半分は乾燥帯(BWh、BWk、BSh、BSk)と温帯(Cfa、Cfb、Cfc、Csb)に属します。南米の最南端は南極に近いため夏でも冷涼で、ツンドラ気候(ET)に属します。

ラテンアメリカの宗教

ラテンアメリカはラテン系のスペイン人・ポルトガル人が開拓した地域のため、カトリックが多い地域です。

ラテンアメリカの人種・言語

「人種」とは、遺伝的・身体的特徴をもとにした人類の集団です。ラテンアメリカは混血が多い地域です。南米の南半分はコーカソイド(白人)が多く、それ以外の地域はコーカソイド(白人)とモンゴロイド(黄色人種)の混血と、モンゴロイド(黄色人種)が多くなっています。「語族」とは、同じ語源から分化したと想定される言語群です。ラテンアメリカはほとんどがインド=ヨーロッパ語族であり、アマゾン地域にインディアン=インディオ諸語がいます。上の図の「語派」とは、語族をさらに細分化したものです。インド=ヨーロッパ語族は、ゲルマン語派・ラテン語派・スラヴ語派・ケルト語派・ギリシア語派などに細分化されます。ラテンアメリカはほとんどがラテン語派です。英語・ドイツ語・オランダ語などはゲルマン語派で、フランス語・イタリア語・スペイン語などはラテン語派です。アイルランド語はケルト語派、ギリシア語はギリシア語派です。似たような概念に「民族」があります。民族とは、文化的特徴を共有する人間集団です。ブラジル人、メキシコ人などです。

ラテンアメリカの歴史

古代〜中世

ラテンアメリカでは古代からインディオの文明が存在していました。紀元前1400年〜400年頃にメキシコ中部でオルメカ文明が栄え、紀元前1000年頃〜16世紀までユカタン半島でマヤ文明が繁栄します。14世紀にはメキシコ中部にアステカ王国が成立します。

近世

南米のアンデス山脈でも紀元前3000年頃から文明が発展し、15世紀にはインカ帝国が台頭して広大な領土を支配します。

1492年、スペイン王が派遣したコロンブスがアメリカ大陸を発見したことで、ラテンアメリカ世界は一変します。スペインのコルテスが1521年にアステカ王国を征服、ピサロが1532年にインカ帝国を征服してラテンアメリカの広大な地域を植民地化します。ポルトガルも1500年頃からブラジルの植民地化を進めます。スペインは1545年に発見したポトシ銀山の莫大な銀を独占し、富を得ます。銀の採掘は先住民インディオの強制労働によって経営されます。カリブ海ではアフリカからの黒人奴隷を労働力として砂糖やタバコを生産するプランテーションが始まります。

近代

スペインによる植民地支配に対するインディオ、黒人、現地生まれの白人たちの不満が高まる中、19世紀初頭に独立のチャンスが訪れます。フランス革命やアメリカ合衆国独立の影響や、ナポレオンによって本国スペインが占領されたことで、ラテンアメリカの独立運動が活発になります。1804年のハイチ独立を発端に、ラテンアメリカ諸国は次々と独立していきます。

1898年の米西戦争でアメリカ合衆国が勝利すると、スペインはラテンアメリカの植民地を全て失います。ラテンアメリカ諸国は、アメリカ大陸において圧倒的な国力を持つアメリカ合衆国に従属していきます。

現代

第二次世界大戦後のラテンアメリカ諸国はアメリカ合衆国への従属をさらに強めますが、1959年のキューバ革命などの反米の動きも起こります。キューバを発端にラテンアメリカで共産主義の脅威が強まると、アメリカ合衆国は軍事介入して親米的な軍事政権を支援するなどし、共産主義の拡大を防ぎます。2000年代には新自由主義による貧富の差の拡大への不満から反米政権が次々に誕生しますが、これらの国では腐敗と混乱が続いています。

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