【地域解説:北アメリカ】インディアンが住む未開の地から世界一の超大国へ!アメリカ大陸の北半分について解説!

こんにちは!歴史ワールド管理人のふみこです!

今回は、世界史の地域区分の1つ、「北アメリカ」について解説します。アメリカ大陸の北半分からなる地域です。

先住民の国家はほぼ形成されず、17世紀からイギリスなどヨーロッパ諸国の植民地となります。しかし、18世紀にアメリカ合衆国が独立し、この地域の覇権を握ります。19世紀末にはアメリカ合衆国は世界最大の経済大国となって世界の覇権を握り、特に第二次世界大戦以降や冷戦終結後は圧倒的な超大国として、世界の覇権国家としての地位を盤石にさせています。

では、北アメリカはどこからどこまでで、どういう地形で、どんな気候で、どんな宗教を信じる人が多く、どんな人種や言語で構成されているのでしょうか。そして、どんな歴史を辿ってきたのでしょうか。

この記事では、「北アメリカ」の範囲、地理、気候、宗教、人種、言語、歴史について徹底的に解説します。

目次

北アメリカの範囲

上の図の紫色の範囲が「北アメリカ」です。地理的にはメキシコなどパナマ以北の国々とカリブ海諸国まで「北アメリカ」に含めますが、世界史ではアメリカ合衆国、カナダ、グリーンランドのみが「北アメリカ」です。イギリス人(アングロサクソン)が開拓した地域のため「アングロアメリカ」とも呼びます。一方、メキシコ以南の中南米はスペイン人とポルトガル人が開拓した地域のため「ラテンアメリカ」と呼ばれます。世界史では、イギリス系とスペイン・ポルトガル系で分けているのです。

北アメリカの地理

北アメリカは西部に山脈が多く、東部は河川や湖が多い地形です。中西部には北アメリカ大陸最大の山脈であるロッキー山脈が広がり、中部には北アメリカ大陸最大の河川であるミシシッピ川が流れています。北アメリカ大陸の東西には広大な太平洋と大西洋が広がっています。他の大陸までは何千キロも離れており、飛行機が発明されるまでは簡単に行き来できる場所ではありませんでした。

北アメリカの気候

アメリカ合衆国の東南部は温暖湿潤気候(Cfa)に属し、アメリカ合衆国の東北部とカナダのほとんどの地域は冷帯(亜寒帯)湿潤気候(Dfa、Dfb、Dfc)に属します。アメリカ合衆国の西海岸は地中海性気候(Csa、Csb)に属し、中西部は乾燥帯(BWk、BSk)に属します。カナダ北部とグリーンランド沿岸部はツンドラ気候(ET)、グリーンランド内陸部は氷雪気候(EF)に属します。

北アメリカの宗教

北アメリカはイギリス人が開拓した地域のため、プロテスタントが多い地域です。カナダのケベック州ははじめフランスの植民地だったため、カトリックが多い地域となっています。

北アメリカの人種・言語

「人種」とは、遺伝的・身体的特徴をもとにした人類の集団です。北アメリカはほぼ全域がコーカソイド(白人)が多い地域となっています。カナダ北部やアラスカ北部はモンゴロイドが多い地域です。「語族」とは、同じ語源から分化したと想定される言語群です。北アメリカはほとんどがインド=ヨーロッパ語族であり、カナダ北部やアラスカ北部にインディアン=インディオ諸語がいます。上の図の「語派」とは、語族をさらに細分化したものです。インド=ヨーロッパ語族は、ゲルマン語派・ラテン語派・スラヴ語派・ケルト語派・ギリシア語派などに細分化されます。北アメリカはほとんどがゲルマン語派です。英語・ドイツ語・オランダ語などはゲルマン語派で、フランス語・イタリア語・スペイン語などはラテン語派です。アイルランド語はケルト語派、ギリシア語はギリシア語派です。似たような概念に「民族」があります。民族とは、文化的特徴を共有する人間集団です。アメリカ人、カナダ人などです。

北アメリカの歴史

先史時代〜古代〜中世

約1万5000年前、シベリアに住んでいた人々は氷期のため陸続きとなっていた現ベーリング海峡を渡り、無人のアメリカ大陸に到達します。メキシコ以南のラテンアメリカ地域ではマヤ文明などの文明や国が形成されますが、北アメリカでは文明や国家は形成されませんでした。ヨーロッパ人による最初のアメリカ大陸発見は10世紀末のノルマン人ヴァイキングです。982年頃にグリーンランドに植民を開始します。992年頃、レイフ=エリクソンが北アメリカ大陸に到達し、カナダのラブラドールやニューファンドランド島に上陸したとされています。ヴァイキングは入植を試みますが、失敗してしまいます。隔絶されていたアメリカ大陸が世界と一体化し始めるのは、1492年のコロンブスによる西インド諸島のサンサルバドル島への到達以降です。ラテンアメリカと比べ、北アメリカへのヨーロッパ人植民は遅れます。最初の植民は1607年のイギリスによるジェームズタウン建設です。

近世

1620年にはメイフラワー号に乗ってきたピルグリム・ファーザーズたちがプリマスに入植し、やがて東海岸にはイギリスの13植民地が建設されます。

フランスはケベックから五大湖、ミシシッピ川流域に植民地を拡大します。イギリスとフランスの植民地は衝突し、100年以上も紛争を繰り返します。

1754〜1763年のフレンチ・インディアン戦争でイギリスが勝利すると、北米のフランス植民地のほとんどはイギリス領になります。しかし、イギリスは東海岸の13植民地に重税を課したため、不満を持った植民地側が1775年に反乱を起こします。アメリカ独立戦争です。1776年にはアメリカ独立宣言が発表されます。戦争は植民地側が勝利し、1783年のパリ講和条約でイギリスは13植民地の独立を認めます。アメリカ合衆国の誕生です。

近代

1803年、アメリカ合衆国はフランス領ルイジアナを買収し、領土を大きく西に拡大します。

1846年に米墨戦争が勃発してアメリカが勝利すると、メキシコから広大な領土を獲得します。アメリカ合衆国の領土は太平洋岸にまで到達します。

1861〜1865年、アメリカ合衆国では奴隷制をめぐって南北が対立し、南北戦争が勃発します。戦争は北部の勝利に終わり、アメリカ合衆国では中央集権化が進みます。そして重化学工業による第二次産業革命によって飛躍的に工業力を高め、1873年のヨーロッパ経済恐慌によって工業生産が世界一になります。対外的には太平洋への進出を進め、1867年にロシアからアラスカを購入、アリューシャン列島とミッドウェー諸島を征服します。

1897年に就任したマッキンリー大統領は帝国主義政策を進めます。1898年に米西戦争を仕掛けてスペインの植民地だったフィリピン・プエルトリコ・グアムを獲得し、同年ハワイを併合します。

1901年に就任したセオドア・ローズヴェルト大統領は1903年にパナマ共和国からパナマ運河建設権と租借権を獲得し、パナマ運河の建設を開始します。パナマ運河は1914年に完成しますが、これで太平洋と大西洋の船の行き来がしやすくなりました。

現代

イギリスの植民地であったカナダは1867年に自治権を得ていましたが、1931年のウェストミンスター憲章で実質的に独立します。しかし、憲法改正権だけはイギリスは持っていました。1982年のカナダ憲法制定により、カナダは完全に独立国家となります。

2度の世界大戦で勝利し、ソ連との冷戦にも勝利したアメリカ合衆国は、1991年のソ連崩壊以降、世界で唯一の超大国となります。民主主義と自由を守る「世界の警察」として世界各地にアメリカ軍が展開されますが、これは各地で反発も生み、反米感情が高まる地域も現れます。しかし、日本やヨーロッパなど多くの国はアメリカに友好的であり、同盟国も多いアメリカの覇権は揺るぎないものになっています。

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