【地域解説:オセアニア】広大な太平洋に浮かぶ島々からなる地域について解説!

こんにちは!歴史ワールド管理人のふみこです!

今回は、世界史の地域区分の1つ、「オセアニア」について解説します。太平洋の島々からなる地域です。

「大洋州」という呼び方もありますが、「オセアニア」のほうが一般的です。先住民の国家はほぼ形成されず、18世紀からイギリスなどヨーロッパ諸国の植民地となり、20世紀前半にオーストラリアやニュージーランドが独立します。

では、オセアニアはどこからどこまでで、どういう地形で、どんな気候で、どんな宗教を信じる人が多く、どんな人種や言語で構成されているのでしょうか。そして、どんな歴史を辿ってきたのでしょうか。

この記事では、「オセアニア」の範囲、地理、気候、宗教、人種、言語、歴史について徹底的に解説します。

目次

オセアニア(大洋州)の範囲

上の図の紫色の範囲が「オセアニア」です。オーストラリアやニュージーランドを含む太平洋の島々です。日本の小笠原諸島、沖ノ鳥島、南鳥島、アメリカのハワイ、マリアナ諸島、ウェーク島までオセアニアに含みます。

オセアニア(大洋州)の地理

オセアニアは大きく、オーストラリア大陸、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに分けられます。ニュージーランドやハワイはポリネシアに含みます。オーストラリア大陸は砂漠が多く乾燥しています。オセアニアの島々は小さい島が多く人口が少ないのが特徴です。アジアやアメリカなどの大陸から何千キロも離れており、簡単に行き来できる場所ではないからです。

オセアニア(大洋州)の気候

オーストラリア大陸は大部分が乾燥帯(BWh、BSh、BSk)に属します。主要都市のある南東部の沿岸地域は温帯の温暖湿潤気候(Cfa)や西岸海洋性気候(Cfb)に属します。西岸のパースは地中海性気候(Csa、Csb)です。ダーウィンなどの北岸地域はサバナ気候(Aw)に属します。ニュージーランドは全域が西岸海洋性気候(Cfb)です。それ以外の島々は熱帯(Af、Am、Aw)に属します。

オセアニア(大洋州)の宗教

オセアニアはほぼ全域がプロテスタントが多い地域です。フランス領のニューカレドニア島やタヒチ島ではカトリックが、日本の小笠原諸島は神道・大乗仏教が多い地域です。

オセアニア(大洋州)の人種・言語

「人種」とは、遺伝的・身体的特徴をもとにした人類の集団です。オセアニアはオーストラリア沿岸部とニュージーランドにコーカソイド(白人)が多く、オーストラリア内陸部や島々はオーストラロイドが多いです。「語族」とは、同じ語源から分化したと想定される言語群です。オーストラリア沿岸部、ニュージーランド、他の島々など全域にインド=ヨーロッパ語族が多く、オーストラリア内陸部はオーストラリア諸語、島々の一部にはオーストロネシア語族が多くなっています。上の図の「語派」とは、語族をさらに細分化したものです。インド=ヨーロッパ語族は、ゲルマン語派・ラテン語派・スラヴ語派・ケルト語派・ギリシア語派などに細分化されます。オセアニアはほとんどがゲルマン語派(英語)、一部の島がラテン語派(フランス語)です。似たような概念に「民族」があります。民族とは、文化的特徴を共有する人間集団です。オーストラリア人、ニュージーランド人などです。

オセアニア(大洋州)の歴史

先史時代〜古代〜中世〜近世

それまで東南アジアの島々や大陸に居住していたオーストラロイドの人々は、約6万〜3万5000年前頃に、海を渡ってオーストラリアやニューギニアに移住し始めます。約3万5000年前にはソロモン諸島まで到達します。紀元前1300年頃、メラネシアにいたモンゴロイド系のラピタ人は島づたいに移住を開始し、フィジー、トンガ、サモアまで到達します。そこで紀元前後頃まで定住し、ポリネシア文化を築きます。紀元前後頃に移動を再開し、4〜5世紀頃にはハワイやイースター島に到達、12世紀頃にはニュージーランドに到達します。

近代

16世紀、大航海時代に初めて白人がオセアニアを訪れます。そして18世紀末からはイギリスによる本格的な植民が始まります。19世紀前半までにイギリスはオーストラリアとニュージーランドを支配下に入れます。オセアニアの植民地化は進み、19世紀末までには列強諸国による太平洋の島々の分割も完了します。イギリス領はオーストラリア、ニュージーランド、ニューギニア南東部、メラネシア南部の島々、ポリネシアの島々です。フランス領はニューカレドニアやタヒチなど一部の島々です。ドイツ領はニューギニア北東部、メラネシア北部の島々、ミクロネシアのほとんどの島々です。アメリカ領はハワイ、ウェーク島、グアム島です。日本領は小笠原諸島、沖ノ鳥島、南鳥島などです。

現代

1918年に第一次世界大戦でドイツが敗北すると、ドイツ領の島々は日本とイギリスで分割されます。ニューギニア島やメラネシアの島々はイギリスの委任統治領、マリアナ諸島やマーシャル諸島などミクロネシアの島々は日本の委任統治領です。1931年にオーストラリアとニュージーランドは独立します。1941〜1945年の太平洋戦争(大東亜戦争)ではミクロネシアとメラネシアの島々が戦場になりました。

1945年の第二次世界大戦終結後、オセアニアの島々は次々に独立します。1980年までに多くの国が独立しますが、ニューカレドニアやタヒチなどフランスの海外領土に留まる島や、ハワイやグアムのようにアメリカ合衆国の州に留まる島もあります。

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